等級制度の変化

近年、損害保険業界においては東日本大震災をはじめとして日本各地で多発する地震、タイの洪水被害など多くの自然災害によって多額の保険金支払いが続いており、業界全体で大きなダメージを受けています。

また損害保険の中心である自動車保険における収支悪化も問題視されていました。

特に自動車保険における収支の悪化は深刻で、損害保険の基本である収支相等の原則も崩れています。

そのため、損害保険料算出機構は平成23年10月に自動車保険の等級別料率の見直しが行われました。ポイントは下記の3点です。

損害保険料算出機構によるノンフリート等級別料率制度の改定内容

<ポイント1> 等級係数の見直し

1から20等級すべての等級について、その割引率が見直され、一部が変更になっています。最大の特徴は7F等級から20等級において同じ等級でも前年契約の事故の有無によって事故なしの人は「無事故係数」が、事故ありの人は「事故有係数」が適用されることです。

これはどういうことかというと、事故ありの人は今後も事故にあう可能性が大きい傾向にあるため、事故なしの人より下げられた割引率が適用されるということです。つまり、同じ等級であっても保険料が高くなります。

<現行の等級係数>
等級 係数(割増引率)
1等級 1.52(+52%)
2等級 1.26(+26%)
3等級 1.10(+10%)
4等級 0.99(-1%)
5等級 0.90(-10%)
6等級 0.83(-17%)
7等級 0.77(-23%)
8等級 0.72(-28%)
9等級 0.67(-33%)
10等級 0.63(-37%)
11等級 0.60(-40%)
12等級 0.56(-44%)
13等級 0.53(-47%)
14等級 0.50(-50%)
15等級 0.48(-52%)
16等級 0.45(-55%)
17等級 0.43(-57%)
18等級 0.41(-59%)
19等級 0.39(-61%)
20等級 0.37(-63%)
<改定後の等級係数>
等級 無事故係数(割増引率) 事故有係数(割増引率)
1等級 1.64(+64%)
2等級 1.28(+28%)
3等級 1.12(+12%)
4等級 0.98(-2%)
5等級 0.87(-13%)
6等級 0.81(-19%)
7等級 0.70(-30%) 0.80(-20%)
8等級 0.60(-40%) 0.79(-21%)
9等級 0.57(-43%) 0.78(-22%)
10等級 0.55(-45%) 0.77(-23%)
11等級 0.53(-47%) 0.75(-25%)
12等級 0.52(-48%) 0.73(-27%)
13等級 0.51(-49%) 0.71(-29%)
14等級 0.50(-50%) 0.69(-31%)
15等級 0.49(-51%) 0.67(-31%)
16等級 0.48(-52%) 0.64(-36%)
17等級 0.47(-53%) 0.62(-38%)
18等級 0.46(-54%) 0.60(-40%)
19等級 0.45(-55%) 0.58(-42%)
20等級 0.37(-63%) 0.56(-44%)

(注意:全く前契約のない新契約を締結する場合は上記の係数は適用されません。)
この新たな等級係数の導入は事故ありの人と事故なしの人の保険料負担を平等にする目的に基づいています。

1から6等級にはこの「無事故係数」「事故有係数」の適用はありません。

自動車保険の等級は「6」からスタートします。そのため、前年実績は不明です。また、1から5等級はデメリット等級と呼ばれ、必ず事故を起こしている等級だからです。

<ポイント2> 等級すえおき事故の廃止

これまでリスクや運転者の責任が小さいとして「台風の被害」や「いたずらによるキズ」などの一部の事故については保険金を支払った場合でも事故がなかったものとして扱い、「等級すえおき事故」と呼んでいました。

しかし、今回のこれまで等級すえおき事故とされていた事故についても翌年の等級が1等級下げられることになりました。

等級すえおき事故ありの人は無事故の人に比べるとリスクが高い実態にあるため、両者の保険料負担の均衡を図る目的があります。また、これによりこれまでの「等級すえおき事故」は「1等級ダウン事故」と呼ばれるようになります。

【例】

運転中に飛来してきた石でフロントガラスにひびが入ったため、修理した

改定前 → 保険金を受け取っても次年度の等級はそのまま変更なし

改定後 → 保険金を受け取った翌年は1等級ダウン

<ポイント3> 事故有係数の適用期間

<1>で説明した事故有係数は<2>にて説明した「1等級ダウン事故」についても適用されます。それぞれの適用期間は次のとおりです。

3等級ダウン事故 → 1件につき3年間

1等級ダウン事故 → 1件につき1年間

2年連続で事故を起こした場合はこの適用期間は最大6年まで積算されていきます。
しかし、この適用期間の間も無事故であれば等級は進行していきます。

今回改定された損害保険料算出機構の等級係数は所属する損害保険会社が参考としているものです。そのため、各大手損害保険会社各社もこの改定にあわせた等級制度の改定が行われることが想定されます。

今回説明した等級制度の改定の導入日は平成24年4月1日です。ただし、新制度は次の契約から適用される旨の周知するための期間を設けますので、平成25年4月1日から新制度に基づき決定した等級係数を用いた契約が開始となります。

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