十数万件以上の保険金の未払い案件

最近は落ち着いていたものの、ここ数年、自動車保険の改定が多く実施されているのはご存知でしょうか?

発端は主に2005年から2007年の間に損害保険会社のほとんどで自動車保険をはじめとして十数万件以上の保険金の未払い案件があると発覚したことにあります。

最初はほんの数社の未払事案が見つかっただけでしたが、これを機に大規模な調査が行われ、業界大手を含みほとんどの損害保険会社から本来なら支払われるべき保険金が支払われていなかったことが大きなニュースとなり、社会を賑わせました。

なぜ、何万件もの「保険の未払い」が発生したのか?

「保険金の未払い」が起きてしまった最大の理由は自動車保険が日本国外の資本にも解禁されたことにあります。

この日本の損害保険市場の解禁はアメリカなど海外の損害保険会社の参入を認めると同時に保険商品の自由化を可能としました。

その結果、保険会社毎に多種多様な商品が生み出され、次第に損害保険は1つの契約が20近くもの特約が組み合わさっているという状態が発生しました。補償内容は一律ではなく、契約者毎に変わるため、加入内容の把握だけでも一苦労そんな状態だったのです。

販売する側は説明して販売するので、特約についても把握しており商品知識は蓄積されています。しかし、事故センター(保険金支払い部署)は本来把握する必要があるものの、実際に説明して販売するということは無いため、通常の事故でよく適用される内容以外については知識が薄れてきてしまうということが起きたのです。

それにより、Aの状態になった時には、BとCの特約から支払いが出来ると説明して営業部門が販売していても、実際に事故が起きた際、Cの特約がメジャーな内容で無い場合、保険金支払い部門がBの特約からしか保険金支払いをせずに手続きが完結してしまうことが発生しました。

これが積もり積もって一つの会社で何万件もの未払いが発生となったのです。

各損害保険会社はこの異常な状態を脱し、健全な保険金支払い体制を整えるため、保険金支払い部門を強化しました。そして、その後、商品改定を相次いで実施したのです。

保険商品の自由化以降、例えば、事故による傷跡の治療のための形成外科手術費用をカバーする特約や事故にあった時に行くはずだったコンサートなどのキャンセル費用をカバーする特約など直接的に事故とは関係がなさそうな部分についても補償するものが出てきました。

この時にうまれた特約のうち、運転者を本人限定にするなど今ではメジャーな特約も出てきています。

保険金未払い問題以降、そうして増えてしまった特約を見なし、不要と思われるものは廃止、保険料割引につながるものはそのまま残す、もしくは基本補償に組み込むなどして保険商品がシンプルなものに改定されてきたのです。

しかし、保険商品の複雑化による保険金未払い問題は大変な問題でしたが、このことを機に多くの保険会社が利益主義からお客様へのサービスを主体とする企業への変革を目指すことになりました。

また保険商品の多くはお客様のニーズにあうものを適切に選ぶということが重視されてきています。この流れは自由化によって生み出された最大の効果だと思われます。

各損保会社の主流の改定

損害保険会社の多くは、損害保険料算出機構の改定を受けて、自動車保険の見直しを行いました。

改定の流れは各社さまざまですが、共通しているのは下記の2点です。

1.等級ごとの割引率の見直し

2.年齢条件区分の改定と記名被保険者年齢別料率の導入

等級ごとの割引率の見直し

損害保険料算出機構の等級係数改定を受けて、各社で保険料(等級係数)の改定を行いました。

年齢条件区分の改定と記名被保険者年齢別料率の導入

これまでの年齢条件では別に設定されていた「26歳以上」と「30歳以上」をあわせて、「26歳以上」に一本化します。さらにこの年齢条件の中で自動車保険契約時に設定された記名被保険者の年齢をもって保険料率を設定する仕組みを導入しました。

このため、年齢条件などの契約内容が同じであっても被保険者の年齢によって保険料が変わります。主に20代、30代、40代、50代、60代と記名被保険者の年齢に合わせてその料率が異なるのです。

これは世代ごとの事故発生件数、保険金支払額の差が生じ不平等との見方が現れたためです。 特に60代、70代の事故発生は多く、その事故に支払われる保険金を事故の少ない40・50代が負担している状況でした。

この新しい記名被保険者年齢別料率の導入で保険料負担の平準化を図ります。

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